このお話は「暮らし守りの記録」のひとつです。
家族の変化に戸惑いながらも、ゆっくり進んでいく日々を綴っています。
父の変化に戸惑っていた頃に出会った一冊
父の様子に小さな違和感を覚えはじめ、
「これから何をしたらいいのだろう」と不安が胸の奥に広がっていた頃、
本屋さんでふと目に入ったのが『ぼけ日和』でした。
「ぼけ」という衝撃的な言葉に思わず足が止まり、
中を開くと漫画で描かれていて読みやすく、
パラパラとめくったときに目に入った“モノ取られ妄想”のページに、
はっとしました。
そこには、
「モノ取られ妄想は、本当は“もっとも頼りにしている人”に向かうもの」
と書かれていたのです。
叔母の姿と重なった、胸がぎゅっとなる言葉
この一文を読んだ瞬間、私は叔母の顔が浮かびました。
介護をしていた叔母は、
「お金を取っただろう」と言われて深く傷つき、
「こんなに尽くしているのに」と涙をこらえていた姿が忘れられません。
でも本には、こう続いていました。
「“お金取った”は、ある意味で“介護の勲章”。
本当は“あなたがいないと困る”の裏返し。」
その言葉を読んだとき、胸がぎゅっとしました。
あのときの叔母に、この言葉を伝えてあげたかった。
そう思った瞬間、もっとこの本を読みたいと強く感じました。
本人もまた、不安の中で生きている
『ぼけ日和』は、家族の視点だけでなく、
本人が抱える不安にもそっと寄り添ってくれる本でした。
忘れていく自分。
分からなくなっていく自分。
その不安は、家族が想像する以上に深いもの。
だからこそ、一番頼りにしている人に意識が向き、
「モノ取っただろう」といった言葉が出てしまう——
本にはそう書かれていました。
その視点を知ったとき、
私は父の中にも“父の世界”がちゃんとあるのだと気づきました。
親と子の関係がゆっくり反転していくとき
本の中には、こんなメッセージもありました。
「認知症になっても笑って過ごせる家族は、
“これまでどおり”を求めるのではなく、
“ありのまま”を認めていく家族です。」
親だからしっかりしていてほしい。
昔のままでいてほしい。
そんな気持ちを手放し、
ゆっくりと“親と子の関係が反転していく”ことを受け入れる。
その姿勢が、
MCI(軽度認知障害)から認知症への進行を
ゆるやかにする可能性がある——
本はそう教えてくれました。
そして気づいた、私自身への“まいっか”
父の変化に戸惑い、
病院探しやこれからの生活に不安を抱えていたのは、
実は私自身も同じでした。
だからこそ、
父に「ありのまま」を認めるように、
自分自身にも「よく頑張っているよね、まいっか」と
声をかけてあげることが必要だったのだと気づきました。
抜けているところもあるけれど、
一つ一つ進めていけばいい。
そう思えたとき、心がふっと軽くなりました。
『ぼけ日和』は、これからの道を照らしてくれる一冊
息子が私の様子を見て
「これ誕生日プレゼントに買うね」と言ってくれたこともあり、
この本は私にとって特別な一冊になりました。
介護を意識しはじめた頃に出会い、
今でも何度も読み返してしまう——
私のバイブルです。
同じように、
家族の変化に戸惑っている誰かの心が
少しでも軽くなりますように。
今日も「ま、いっか」と心に小さな丸をつけながら、
ゆっくり進んでいけますように。

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